漢字検定(漢検)1級は「趣味」

その他

漢検1級とは

漢検は、日本においては非常に知名度の高い検定試験だと思います。
小中学校で受検させられた!なんて方も多いかも知れません。

そんな漢検ですが、1級の合格は非常にハードルが高いです。
それもそのはず、日本漢字能力検定協会HPにある「各級の出題内容と審査基準」によると、漢検1級の出題範囲は、
「常用漢字を含めて、約6000字の漢字(JIS第一・第二水準を目安とする)の音・訓を理解し、文章の中で適切に使える。」
です。

ピンと来ない方もいるかも知れませんが、常用漢字の合計が2,136文字です。

小中高と十数年にわたって習ってきた漢字に加え、更に4,000文字弱の漢字を新たに覚えなければならない、ということになります。

しかも、「常用漢字」に入っていないということは、平均的には大して使わない漢字たちで、日常生活では中々見かけないような漢字が目白押しです。
一体いつ使うんだという漢字を大量に覚え、使いこなすことを求められているのが、漢検1級という級なのです。

漢検1級を受検する意味は?

漢検1級を受検する意味は、「趣味」以外の何物でもないと思っています。

もちろん、社会生活で一切役立たないとまでは言いませんが、1級の知識は社会での要求レベルに対しては過剰です。先述の「各級の出題内容と審査基準」では、1級のレベルを

大学・一般程度(約6000字)

と表現していますが、一般レベルで求められているレベルはせいぜい「常用漢字」程度でしょうから、この表現は実態を映したものではないと思います。

私も20代前半で合格し、履歴書にも1級合格と書いていましたが、「すごいですね」と言われ努力を認められることはあっても、それだけで何かに合格できたり、就職が決まったり、報酬が上がったりということは(ほとんど)ありません。
医師や弁護士のような独占業務を持つ国家資格ではないので、持っているからといって直ちに仕事にありつける、という性質のものではないのです。
せいぜい、クイズ番組の答えがすぐに分かる、くらいが目ぼしい効果でしょうか(笑)
しかも、数少ない「この漢字読める?」と尋ねられるときでさえ、割と多いのが氏名か地名を読み方。漢検ではこれらが出題されることはないんですよね。(近年は熟字訓(当て字)の分野で外国地名の読みが復活しましたが、国内の難読地名の出題例はなし。人名は言わずもがな。)

氏名も地名も、基本的には知らないと読めないし、出題もされないから対策することもないので、単純な漢検の知識では太刀打ちできません。
結局、漢検を極めたとて、社会生活で期待されている漢字の知識(=人名や地名をすぐに答えられること)とはズレてしまう可能性が高いです
個人的には、人名や地名をたくさん知っていることは本質的な漢字の知識ではないと思いますが、いずれにしても、1級合格にかけるコストに見合うだけの効果を実感するのは難しいように感じます。

つまり、漢検1級とは、漢字の知識を深めたいという純粋な欲求を満たすものとして、あるいは生涯学習として、つまりは「趣味」として取り組むのがベターだと思います。

まとめ

漢検1級の出題範囲は広汎であり、かつ日常レベルを逸脱したマニアックな出題が多い検定試験であることから、合格しても社会からの評価は限定的です。

このブログでもなるべく合格に近付けるような価値を提供していきたいとは思いますが、そもそも効率的に合格することはこの検定の目的ではないと思っています。

趣味としての漢検を、楽しみましょう!