【漢検1級勉強法】パーツ別 読み間違いやすい漢字「責」

漢検

パーツ(音符)ごとに漢字をまとめてみる企画、今回のパーツは「責」です。

なお、漢字の分類、読み、熟語などについては漢検漢字辞典(第2版)を参照していますので、辞典によっては用例等が異なる場合がありますが、ご容赦ください。

「責」を含む漢字一覧

漢字音読み訓読み熟語など
1セキ
シャク  
せ(める)責任(せきにん)・重責(じゅうせき)・呵責(かしゃく)
2セキ

シャク
つ(む)・つ(もる)・たくわ(える)積痾(せきあ)・積善(せきぜん/しゃくぜん)
3セキつむ(ぐ)・う(む)・いさお紡績(ぼうせき)・功績(こうせき)
4セキいさお功勣(こうせき)
5セキかわら・さばく磧礫(せきれき)
6セキ
シャク
あと史蹟/史跡(しせき)
8サクさけ(ぶ)・さいな(む)・かまびす(しい)嘖嘖(さくさく)
9サクす・すのこ葦簀/葭簀(よしず)・易簀(えきさく)
10シャク癇癪(かんしゃく)
11サイか(し)・か(り)債権(さいけん)・債務(さいむ)・負債(ふさい)
12つ(ける)・つ(かる)漬物(つけもの)・浸漬(しんし)

※「セキ」が基本ですが、「嘖」は「サク」と読むため注意が必要です。

①セキ系

」:常用漢字。せめる、咎めるという意味で「叱責(しっせき)」、なすべき職務という意味で「責務」「職責」など。
・呵責(かしゃく):厳しくとがめること。責めて苦しめること。「良心の―」。例外的に「シャク」と読むパターン。なお、漢検漢字辞典の「責」の下つき語では「かせき」との読みも認めているが、「呵」の見出し熟語として掲載されている「呵責」では「かしゃく」のみで、それ以外の読み方は掲載していない。基本的には「かしゃく」と読むものとして覚えるべき。

」:常用漢字。「つ(む)」という意味で「積載」、「たくわ(える)」という意味で「蓄積」など。その他、数学で二つ以上の数や式を掛けて得た値のことを「積」と呼ぶほか、平面や立体の大きさという意味では「面積」「容積」などの用例もある。「シ」「シャク」とも読むが、漢検漢字辞典で「シャク」と読む場合は「セキ」と読んでも正解となるケースのみである。「シ」に至っては用例自体がないが、別の辞書(漢字源など)ではいくつか使用例が見受けられる。
・積痾(せきあ):長く治らない病気。持病。
・積善(せきぜん/しゃくぜん):長く続けてきた善行。積み重ねられた良い行い。
・積毀(せっき)骨を銷(しょう)す:悪口も積み重なると、ついには硬い骨も溶かしてしまう。多くの人の言うことの恐ろしさをたとえたもの。
※委積(いし):漢字源に掲載。ためて蓄える。特に、凶作の年に備えて米穀を蓄えること。
※厚積(こうし):漢字源に掲載。多くのたくわえ。たくさんの富。

」:常用漢字。糸をつむぐという意味で「紡績」、いさお(手柄)という意味で「業績」など。基本的に下付きの熟語が多い。訓読みは全て表外読み扱いで、「う(む)」とは麻などの繊維の長いものを細かく裂き、縒(よ)って長くつなぐという意味。
・積麻/積苧(うみお):つむいだ麻糸。

「勣」:「いさお(=功)」と読み、成果という意味。漢検漢字辞典では見出し熟語はなし。
※功勣(こうせき):手柄。功績。

「磧」:「かわら(=河原)」「さばく(=砂漠)」という訓読みがある。音読みは「セキ」のみ。
※磧礫(せきれき):河原の小石。

「蹟」:「跡」と意味も用途もほとんど重複する。ジブリ映画「耳をすませば」の舞台となった東京都多摩市の「聖蹟桜ヶ丘」はこの字を使う。神聖な遺跡という意味の熟語では「聖蹟」とも「聖跡」とも書けるが、固有名詞の「聖蹟桜ヶ丘」はこの字のみが正解。
・史蹟/史跡(しせき):歴史上の事件に関係がある場所や建造物。また、その跡。

②サク系

「嘖」:大声で叫ぶ、言い争うこと。「かまびす(しい)」とは、やかましいという意味。
・嘖嘖(さくさく):人々が口々に言いはやすさま。しきりに言うさま。「好評―」

「簀」:訓読みの「す」や「すのこ」で使われることがほとんどで、漢検漢字辞典での音読みの用例はなし。
※葦簀/葭簀(よしず):広辞苑に掲載。葦を編んで作った簀。日除けなどに用いる。
※生簀(いけす):漢字源に掲載。料理用、観賞用に獲った魚や貝類を生かして飼っておく所。
※易簀(えきさく):漢字源に掲載。病床を取り換える意味から、人の死をいう。

③その他例外

(1)シャク

「癪」:「シャク」と読む国字。「しゃく」とは、胸や腹が急に痛み、痙攣を起こす病気のこと。
※癪気(しゃっき):癪の病気。
※癇癪(かんしゃく):感情を抑えきれず、怒りやすい性質。また、その発作。癇癪玉。

(2)サイ

」:常用漢字で「サイ」と読む。「債権」と「債務」は代表的な用例の一つであるが、金銭などを返す義務を負っている「か(り)」という意味から「債務」、貸した金銭などを取り立てる「か(し)」という意味から「債権」という構成で、それぞれ「債」の意味するところが微妙に異なる。
・債券(さいけん):国家・公共団体・銀行・会社などが、資金を借り入れるために法律に基づいて発行する有価証券。「国債」「公債」「社債」など。

(3)シ

」:常用漢字で「つ(ける)」と読む。「漬物(つけもの)」専用の漢字と言って過言ではない字だが、音読みは「シ」としか読まないなど特殊。
※浸漬(しんし):漢字源に掲載。①水にひたす。つける。②教訓などが段々と心にしみること。
※漬墨(しぼく):漢字源に掲載。汚れて黒くなる。