漢検四字熟語辞典に登場する「之」がつく1級配当熟語を集めてみました。
実は出題形式の特性上、「四字熟語」としてこれらが出題されるケースはほとんどないかと思います。
というのも、漢検の四字熟語は、語構成が〇〇(2字)+〇〇(2字)となっていることを前提に、前半部または後半部の書き取りをさせる形式です。「( )二鳥」という問題の語群から「いっせき」を選び「一石」と書く、というイメージですね。
しかしながら、「之」が入る熟語は「〇〇(2字)+之+○(1字)」という構成になるため、前後半で熟語を切れません。したがって、問題形式になじまないため近年ではほとんど出題されないのだと思います。
とは言え、これらは書き取りや故事成語としては頻出のものも多数含まれていますので、漢検対策としては有用です。知らないと書けない熟語も多いので、四字熟語の勉強に並行してこれらの学習を進める方が良いかと思います。
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「之」がつく1級配当熟語一覧
韋弦之佩 | いげんのはい | 自分の性格を改めて修養しようと戒めの為の物を身につけること。 |
一簣之功 | いっきのこう | 仕事を完遂する間際の最後の努力。最後のひとふんばり。 |
一丘之貉 | いっきゅうのかく | 同じ丘に住む狢。似たようなもののたとえ。 |
一狐之腋 | いっこのえき | 貴重なもののたとえ。 |
一朝之忿 | いっちょうのいかり | 一時的な怒りをいう。 |
鷸蚌之争 | いつぼうのあらそい | 両者が争う中第三者が骨を折らずに利益を横取りしてしまうこと。 |
猗頓之富 | いとんのとみ | 巨万の富、膨大な財産をいう。 |
倚門之望 | いもんのぼう | 子を思う母の愛情のたとえ。 |
盈満之咎 | えいまんのとがめ | 満ちれば欠けるという道理のこと。 |
越俎之罪 | えっそのつみ | 自分の分をこえて他人の権限を侵す罪。 |
猿臂之勢 | えんぴのいきおい | 攻守や進退が自在に出来る軍隊の体勢をいう。 |
睚眥之怨 | がいさいのえん | ほんのわずかなうらみ。 |
亥豕之譌 | がいしのか | 文字の書き誤り。 |
柯会之盟 | かかいのめい | 約束を果たして、信頼を得ること。 |
蝸角之争 | かかくのあらそい | きわめて些細なつまらない争いのこと。 |
諤諤之臣 | がくがくのしん | 遠慮することなく、ありのままに正論を述べる人。 |
和氏之璧 | かしのへき | この世に滅多にない宝物。 |
華胥之夢 | かしょのゆめ | よい夢。 |
頷下之珠 | がんかのしゅ | めったに手に入れることができない貴重なもののこと。 |
関雎之化 | かんしょのか | 夫婦の仲がむつまじく、家庭がよく治まること。 |
邯鄲之歩 | かんたんのほ | 自分本来のものを忘れて、他人のまねをしたため、両方ともうまくいかなくなってしまうたとえ。 |
邯鄲之夢 | かんたんのゆめ | 人の世の栄華のはかないことのたとえ。 |
甘棠之愛 | かんとうのあい | 人民の善政を行う人に対する思慕の情が深いこと。 |
管鮑之交 | かんぽうのまじわり | 利害得失を超えた親密な友情のこと。 |
鬼瞰之禍 | きかんのわざわい | よいことにはとかく邪魔が入りやすいということ。 |
羈紲之僕 | きせつのぼく | 主人のたびの伴をする者のこと。 |
窮途之哭 | きゅうとのこく | 貧しくて生活に困窮した悲しみ。 |
薑桂之性 | きょうけいのせい | 年老いてますます剛直なこと。 |
巾幗之贈 | きんかくのぞう | 女々しい考えや行為を辱めること。 |
桂玉之艱 | けいぎょくのかん | よそから物価高の土地にきて、生活に苦労すること。 |
黔驢之技 | けんろのぎ | 自分の腕の悪いことを自覚せず恥をかくこと。 |
膏肓之疾 | こうこうのしつ | 不治の難病のこと。 |
曠世之感 | こうせいのかん | 世に類例がないような感じのこと。 |
曠世之才 | こうせいのさい | この世に比類のないすぐれた才能。 |
毫末之利 | ごうまつのり | ほんのわずかな利益のこと。 |
黒貂之裘 | こくちょうのきゅう | 非常に高価なもののたとえ。 |
師曠之聡 | しこうのそう | 耳が鋭敏なことのたとえ。 |
咫尺之書 | しせきのしょ | 短い書状。 |
舐犢之愛 | しとくのあい | 親が子をむやみに愛すること。 |
徙木之信 | しぼくのしん | 約束を実行するたとえ。 |
社稷之臣 | しゃしょくのしん | 国家の重臣。 |
社稷之守 | しゃしょくのまもり | 国家の守りとなる臣。 |
秋毫之末 | しゅうごうのすえ | ほんの少し。 |
浸潤之譖 | しんじゅんのそしり | 水が次第に物に染込む様に、中傷の言葉が徐々に深く信じられる様になること。 |
垂拱之化 | すいきょうのか | 天子の徳化によって自然と天下が平穏に治まること。 |
尺沢之鯢 | せきたくのげい | 見聞の狭いたとえ。 |
千仞之谿 | せんじんのたに | 非常に深い谷。 |
吮疽之仁 | せんそのじん | 大将が部下を手厚くいたわること。 |
宋襄之仁 | そうじょうのじん | 無用の情けをかけること。 |
滄桑之変 | そうそうのへん | 世の変転の甚だしいたとえ。 |
草莽之臣 | そうもうのしん | 官職につかない民間人。 |
帯厲之誓 | たいれいのちかい | 功臣の家は末永く絶やさせないという約束。 |
湛盧之剣 | たんろのけん | 静かに澄み切った黒い剣。 |
池魚之殃 | ちぎょのわざわい | なんのかかわりもないのに、とんだ災難を受けること。 |
竹帛之功 | ちくはくのこう | 名前が歴史に残るような功績のこと。 |
誅心之法 | ちゅうしんのほう | 実際の行為として現れずとも、心中が誤りならば、それを処罰するという筆法。 |
疇昔之夜 | ちゅうせきのよ | 昨夜。夕べ。 |
樗櫟之材 | ちょれきのざい | 役に立たない人やもの。 |
陳蔡之厄 | ちんさいのやく | 旅の途中で災難に会うたとえ。 |
棣鄂之情 | ていがくのじょう | 兄弟が仲良くむつまじくする情け。 |
椽大之筆 | てんだいのふで | 重厚で堂々とした立派な文章。 |
党錮之禍 | とうこのわざわい | 政党や党派を作ることから起こるわざわい。 |
橦末之伎 | とうまつのぎ | かるわざ。 |
蟷螂之衛 | とうろうのえい | 微弱な兵力・兵備のたとえ。 |
蟷螂之斧 | とうろうのおの | 微弱なものが自分の力を省みず強者に立ち向かうたとえ。 |
斗斛之禄 | とこくのろく | わずかな俸禄。 |
斗筲之人 | としょうのひと | 器量に小さい人物のたとえ。 |
屠羊之肆 | とようのし | 羊を殺してその肉を売る店のこと。 |
屠竜之技 | とりょうのぎ | 学んでも実際には役立たない技術。 |
日昃之労 | にっしょくのろう | 昼食も取らずに昼過ぎまで苦労して働くこと。 |
反哺之羞 | はんぽのしゅう | 親の恩に報いること。 |
匪躬之節 | ひきゅうのせつ | 自分の利害を省みないで、忠節を尽くすこと。 |
牝鶏之晨 | ひんけいのしん | 妻女が権力を握って、勢力を振るうこと。 |
不羈之才 | ふきのさい | なのごとにも拘束されないのびのびとした才能。 |
俯仰之間 | ふぎょうのかん | ほんのわずかな間のこと。 |
巫山之夢 | ふざんのゆめ | 男女の情交をいう。 |
膚受之愬 | ふじゅのうったえ | 身に差し迫った痛切な訴えのこと。 |
榑木之地 | ふぼくのち | 当方にある太陽が昇る地のこと。日本のこと。 |
刎頸之交 | ふんけいのまじわり | 心を許しあったきわめて親密な交際。 |
汨羅之鬼 | べきらのき | 水死した人のこと。 |
胼胝之労 | へんちのろう | 大変な骨折り。 |
逢掖之衣 | ほうえきのい | 袖の大きい着物のこと。 |
望蜀之嘆 | ぼうしょくのたん | 人間の欲望には限りがないということ。 |
賁育之勇 | ほんいくのゆう | 非常に気力が盛んで強いこと。 |
無辜之民 | むこのたみ | 罪無き人々。 |
毋望之禍 | むぼうのわざわい | 思いがけないわざわい。(無望、无望とも) |
罔極之恩 | もうきょくのおん | 父母の恩。 |
八咫之鏡 | やたのかがみ | 三種の神器の一つ。 |
凌霄之志 | りょうしょうのこころざし | 俗世間を遠く超越したいと願う高尚な志。 |
遼東之豕 | りょうとうのいのこ | 世間知らずで、自分だけ得意になっていること。 |
驪竜之珠 | りりょうのたま | 命がけで求めなければ得られない貴重なもののたとえ。 |
鴒原之情 | れいげんのじょう | 兄弟の深い愛情。 |
螻蟻之誠 | ろうぎのせい | けらや蟻のような小さな生き物の誠意。 |
※誤り等があった場合には適宜修正したいと思います。