漢検1級に出題される可能性が低い四字熟語

漢検

漢検1級配当の四字熟語は1,000以上ありますが、その中でも出題傾向に偏りがあるように思われます。

今回は、出題形式や過去問の傾向から、出題される可能性が低い四字熟語を集めてみました。

①配当外漢字が含まれている

当然ですが、1級配当外(読みを含む)漢字は出題されません。
「漢検四字熟語辞典」第1版には、配当外漢字が含まれる四字熟語も「1級」配当と記されていますが、2版では改まっていますので、あえて気にする必要はなくなったのかも知れません。

こちらについては、「『漢検四字熟語辞典』に登場する1級配当外漢字」の記事でまとめていますので、こちらを参照ください。

②語構成が2字+2字ではない

出題形式上、2字+2字の語構成ではない四字熟語の出題はないと見て良いかと思います。

漢検の四字熟語は、熟語を前半2字と後半2字に分け、一方の熟語をヒントに書き取りをさせる形式ですので、真ん中で意味が切れない構成だと出題になじまないのだと思います。
これらのうち代表的なものは「之」が入る熟語で、「2字+之+1字」という構成になっており、これは4字で一体となって成立する熟語です。
確かに「鷸蚌之争(いつぼうのあらそい)」のうち正解を「之争」としようとすると、語群に「のあらそい」が登場することになり、変な出題になりそうです。
他方、「鷸蚌」を書かせるのは成立しそうですが、これも恐らく、漢検協会が「熟語を前半2字と後半2字に分け、一方の熟語をヒントに書き取りをさせる形式」で出題する必要はない、と考えているものと思います。
「鷸蚌」を書かせたいのであれば、故事成語の章で「イツボウの争い」と出せば良いということでしょうね。
「之」を含む熟語については、以下の記事でまとめています。

ちなみに、これ以外で語構成が特殊なものは「色即是空」(色+即是+空)などがありますが、1級配当漢字を含むものだと、

阿轆轆地 あろくろくじ 物事が滞ることなくうまく回転すること。
盂蘭盆会 うらぼんえ 仏教で七月十五日に祖先の霊をまつり冥福を祈る行事。

があります。それぞれ「阿+轆轆+地」「盂蘭盆+会」という特殊な構成です。これも真ん中では切れないので、四字熟語としての出題可能性はかなり低いとみて良いでしょう。

③意味が限定的である

漢検に出題される四字熟語は「生きた」言葉が選ばれやすい傾向があるように思います。しかし、特に教訓を伝えるでもなく、いわば固有名詞としての意味しかないもの、字面どおりの意味しかないものも中には存在しており、こういった熟語は出題されづらいことが予想されます。
あくまで憶測なので出題可能性は0ではありませんが、少しでも学習する熟語を減らしたい場合は、以下のものは落としても良いのかも知れません。

晏子高節 あんしのこうせつ 中国春秋時代、斉の晏嬰が臣下としての節を全うしたこと。
渭浜漁父 いひんのぎょほ 渭水のほとりで釣り糸をたれていた太公望のこと。
禹湯文武 うとうぶんぶ 夏・殷・周三代の始祖の名。
雨霖鈴曲 うりんれいきょく 唐の玄宗の作った楽曲の名。
轅門二竜 えんもんにりょう 唐の烏承玭と烏承恩のことで、戦場をさす。
王楊盧駱 おうようろらく 初唐の四人の詩の大家。
夏癸殷辛 かきいんしん 夏の桀王と殷の紂王。
干戚羽旄 かんせきうぼう 武の舞と文の舞のこと。
鑿歯尺牘 さくしせきとく 晋の習鑿歯は手紙で議論するのにすぐれていたということ。
史籒大篆 しちゅうだいてん 史籒が大篆という書体を作ったということ。
商山四皓 しょうざんのしこう 商山に隠れた四人の老人。
瀟湘八景 しょうしょうはっけい 瀟湘付近の景色のよい八つの場所。
鄒衍降霜 すうえんこうそう 鄒衍が天に訴えて夏に霜を降らせたということ。
鄒魯遺風 すうろいふう 孔子と孟子の教えのこと。
長江天塹 ちょうこうてんざん 長江は天然の塹壕だということ。
典謨訓誥 てんぼくんこう 聖人の教え。経典のこと。
敦煌五竜 とんこうごりょう 晋代に敦煌の人で太学で名声のあった五人の称。
班女辞輦 はんじょじれん 班倢伃は一緒に車に乗るのを断ったということ。
六韜三略 りくとうさんりゃく 中国の有名な兵法書である『六韜』と『三略』のこと。
梁冀跋扈 りょうきばっこ 後漢の梁冀は朝廷でおごり高ぶり『跋扈将軍』と呼ばれたということ。

終わりに

以上、漢検1級に出題されづらい四字熟語を集めてみました。

範囲が膨大なので、全てを覚える!ということにこだわらず、出題される可能性の低い熟語は後回しにしていくことも戦略の一つだと思います。

効率的に学習を進め、合格を勝ち取ってください!