【計・量・測・図・謀・諮】「はかる」のの使い分け

漢検以外

「はかる」という日本語は漢字の種類が多く、使い分けに難儀する方も多いのではないでしょうか。

今回は「はかる」の書き分けについて紹介します。

「はかる」の全体像

「はかる」は3パターンに大別することができ、
①長さ、重さ、深さなどの数量を調べて知ること
②人の気持ちや物事の内容を推して考えたり、予測したりすること
③計画したり、相談したりすること
の3パターンに大別できると思います。図式すると以下のようになります。

それぞれの意味は広辞苑を、漢字は漢検漢字辞典を参照の上、筆者の見解に基づき取りまとめています。また、太字になっているものは常用漢字の表内読みで「はかる」を挙げました。
あくまで独自の解釈を含むため、典拠に応じて意味の捉え方に差異があることはご承知おきください。

これを見ると辞書によって説明にばらつきがある可能性はありますが、実は「計」はいずれのパターンで使用しても誤りとはなりません。
よく、時間をはかる場合は「計」だが、重さは「量」、長さは「測」でないと誤りであるかのように説明されるケースも散見されるように感じますが、突き詰めていくとそこまで厳密に用途が分かれている訳ではないのです。

とは言え、一般的な使い分けを知ることも必要と思いますので、以下より細かな違いを紹介します。

先述のとおり、全ての「はかる」で使用できるユーティリティプレイヤーですが、基本的には「数」や「時間」など、無体・概念的なものを「はかる」場合に使用することが多いと思います。

その他、「計らい」や「見計らう」のように、検討をつけたり処置、企画をする場合にも広く用います。

本来の意味としては水の深さをはかるというものがあり、ここから転じて長さ、高さ、面積、温度などを「はかる」場合に用いられるケースが多いようです。
「計測」や「測定」に言い換えられるもの、特に計測器を使うようなものに対して使う、と覚えるのがよさそうです。

こちらは穀物の重さをはかるという意味があり、ここから嵩(かさ)、重さ、容積などを「はかる」場合に用いられています。
「計量」に言い換えられるものはこの字を使うのが多いと思われます。

こちらはやや毛色が変わり、物事を企てる、実行するために工夫をするという意味で用います。
「解決策を図る」「自殺を図る」「便宜を図る」など、日常やニュース、ビジネスでも広く用いられる表現と思います。

「陰謀」や「謀略」という熟語で使われるように、この字を用いるときは計画(特に悪事)を企てるという意味で「はかる」を使うときに用いることが多いと思います。
「はかられた」というときの字は「謀」がイメージされやすいですね。

字自体がややマイナーですが、相談するという意味で「はかる」というときにはこの字が使われやすいです。「会議に諮る」のように使うのが一般的でしょうか。熟語ですと「諮問」する、という意味で用いることが多いかと思います。

なお、辞書によっては目上の者が目下のものに意見を求めるときに使うと紹介されるケースもあります。「諮問」という熟語が、目下の者に相談する、という意味合いを含んでいるためでしょうか。
ただ、ビジネスにおいては「部長に諮る」「役員会に諮る」のように、割と目上に対して用いられることも多いように感じます。
とはいえ、「諮問」には専門家に意見を求めるという意味も含まれており、この意味で使うのであれば、必ずしも目下である必要はなく、目上に使っても誤用とまでは言えないと思います。

終わりに

「はかる」の代表的な漢字の使い分けを紹介しました。
常用漢字以外の書き方も多くあり、上記の図にも代表的なものを幾つか示しました。
「計」が万能ですので、迷った場合はこれを書くのが無難ではありますが、適切な場面で適切な字を使える方が語彙の充実に繋がりますので、ぜひ本ページを参照の上使い分けてみましょう。

参考資料

1.広辞苑(※)

2.漢検 漢字辞典