【漢検1級勉強法】パーツ別 読み間違いやすい漢字「区(區)」

漢検

パーツ(音符)ごとに漢字をまとめてみる企画、今回のパーツは「区(區)」です。

なお、漢字の分類、読み、熟語などについては漢検漢字辞典(第2版)を参照していますので、辞典によっては用例等が異なる場合がありますが、ご容赦ください。

「区(區)」を含む漢字一覧

漢字音読み訓読み熟語など
1
区画/区劃(くかく)・区区(まちまち/くく)
2
か(ける)・か(る)・お(う)駆逐(くちく)・駆使(くし)
3からだ・むくろ瘦軀(そうく)・軀体(くたい)
4けわ(しい)崎嶇(きく)
5
オウは(く)欧州(おうしゅう)・欧羅巴(ヨーロッパ)
6
オウなぐ(る)・う(つ)・たた(く)殴打(おうだ)
7オウ
は(く)・うた(う)嘔吐(おうと)・嘔啞嘲哳(おうあちょうたつ)
8オウかめ・ほとぎ・はち瓦甌(がおう)・金甌無欠(きんおうむけつ)
9オウうた(う)・うた謳歌(おうか)
10オウかもめ鷗盟(おうめい)・白鷗(はくおう)
11オウ
おうな・あたた(める)翁嫗(おうう)・翼覆嫗煦(よくふうく)
12かが(む)・つつし(む)傴僂(うる/うろう/くぐせ/せむし)
13
スウとぼそ・かなめ枢要(すうよう)・枢密院(すうみついん)

「ク」と「オウ」で二分されている中で、「ウ」と読むパターンが厄介。特に「嫗」は「オウ」とも読みますが熟語では「ウ」と使うことが殆どなので、今回は「ウ」のグループとして紹介しています。

①ク系

」:常用漢字。漢検漢字辞典では、音読みの「ク」以外の読みは認められていない。「区画」「区別」のように、分ける、仕切りをするという意味のほか、「区域」「地区」のように仕切られた場所という意味、「区区」のように、まちまちであるさま、小さいさまという意味も持つ。
・区画/区劃(くかく):土地などにしきりをつけて分けること。また、その場所。「―整理」
・区区(まちまち/くく):物事や見解などがそれぞれ異なること。

「駆」:「か(ける)」と読み、「駆動」「疾駆」のように、主にウマが走る、ウマに乗って走るという意味。駆り立てる、追い払うという意味では「駆除」「駆使」といった使い方もあり。
・駆逐(くちく):敵の勢力などを追い払うこと。
・駆使(くし):①自由に使いこなすこと。②人を追い立てて使うこと。こき使うこと。「従業員を―する」

「軀」:「からだ」という意味で、「軀体(くたい)」「軀幹(くかん)」のように使う。なお、仏像を数えるときは一軀、二軀と数える。
※瘦軀(そうく):瘦せ細っている身体。
・軀体(くたい):①からだ。②建造物の骨組みなど、全体を支える部分。

「嶇」:訓読みは「けわ(しい)」。漢検漢字辞典では、2つ目の意味として危うい、苦しむ、悩むというものを掲載しているが、読みとしては認められていない。
※崎嶇(きく):①山道が曲がりくねって険しいさま。②世渡りの困難なさま。

②オウ系

」:常用漢字。現在は「欧米」「北欧」「欧化政策」など「欧羅巴(ヨーロッパ)」という意味で使われるのが殆どであるが、訓読みは「は(く)(=吐)」で、「嘔」に近い字。この意味では漢字源で「欧泄/嘔泄(おうせつ)」という熟語が掲載されており、これは吐くことと下痢をすることという意味。

」:常用漢字。文字通り「なぐ(る)」「う(つ)」「たた(く)」と極めて暴力的な意味が並ぶ。熟語は「殴打」「殴殺」など。

「嘔」:「嘔吐(おうと)」のように「は(く)」という意味がメインだが、「うた(う)」や喧しいという意味も持つ。「ク」とも読むが用例がない。
・嘔啞嘲哳(おうあちょうたつ):やかましく騒ぎ立てたり、さえずったりすること。調子外れて聞き苦しい乱雑な音のこと。

「甌」:「かめ(=甕)」や「ほとぎ(=缶)」と読む。
※瓦甌(がおう):土がめ。
※金甌無欠(きんおうむけつ):完全で欠点のないたとえ。特に、他国から侵略されたことのない堅固な国家のたとえ。

「謳」:「うた(う)」と読むが、一般的な意味の「歌う」とは異なり、「謳う」の場合は多くの人に知らせるように強調して述べる、褒めたたえるという意味合い。「憲法に謳われている平和主義」「不世出と謳われる人物」ように使う。
・謳歌(おうか):①声を揃えて多くの人が褒めたたえること。②恵まれた環境や状況にあることを十分に楽しむこと。「青春を―する」

「鷗」:鳥の名前である「かもめ」を漢字で書くとこうなる。
・鷗盟(おうめい):①隠居すること。②世俗から離れた風流な付き合い。
※白鷗(はくおう):白い羽のカモメ。(広)

③ウ系

「嫗」:「おうな」と読み、年老いた女性という意味。「オウ」とも読み、漢検漢字辞典では「オウ」をメインの音読みとして掲載しているが、用例は「ウ」が殆ど。基本的には「ウ」と読むものとして覚えた方が便利と思われる。
※翁嫗(おうう):おじいさんとおばあさん。
※翼覆嫗煦(よくふうく):愛すること。親が子を、政治家が人民を、男が女を慈しみ愛することをいう。「嫗煦(うく)」は暖めて育てるという意味。

「傴」:腰が曲がり、体が前に傾くという意味。特に背中が曲がる病気のことを指すことが多い字で、差別用語的であることからか使われる場面が滅多にない。なお、背中が曲がる病気の一つである「くる病」は「佝僂病」「痀瘻病」と書く。「傴」は「ウ」と読むため「くる病」では使用しない。
傴僂(うる/うろう/くぐせ/せむし):背中が弓なりに曲がって、前かがみになる病気。あた、その病気の人。

④その他例外

「枢」:常用漢字。音読みは例外的に「スウ」。訓読みは表外読みで「とぼそ」とあり、開き戸を開閉するために梁と敷居に開けた軸受け穴のこと。熟語としてはもう一つの訓読みである「かなめ」という意味合いで使われることが多い。
・枢密院(すうみついん):明治憲法下で、天皇の最高諮問機関。新憲法で廃止。
・枢要(すうよう):物事の中心となる大切な部分。多く、地位に関して用いる。「組織の―な地位に就く」