「若干」と「弱冠」は共に「じゃっかん」と読む同音異義語です。
使途が全く異なる二語ですが、どのように覚えると良いでしょうか。
今回は両者の用法について解説します。
「若干」と「弱冠」の意味
漢検漢字辞典によると、
「若干」:いくらか。わずか。少々。
「弱冠」:男子の数え年二〇歳。転じて、二〇前後の年齢。また、年が若いこと。
とあります。
多くの場合で「じゃっかん」は「若干」
上記のとおり、「若干」は「わずか」や「少々」といった意味であり、恐らく「じゃっかん」という日本語を使うときの用法は大半がこれでしょう。
つまり、日常生活では殆どの場合「若干」を用いれば良いと理解しておくと良いと思います。
「若干の余裕がある」「若干名の採用」のように、見掛ける機会も多いのではないでしょうか。
年齢の若さを表す場合の「じゃっかん」は「弱冠」
一方、「弱冠」は年が若いことを指す言葉です。
用例としては「弱冠18歳にして金メダリストになった」のように、年齢に対して高い能力や成果を発揮するような場面で用いられることが多いかと思います。
弱冠は、古代中国において、男子が20歳になると元服して冠をつける儀式を行ったことに由来する言葉です。「弱」年のうちに「冠」を受ける、ということですね。
「若干」と書いて…
やや余談ですが、「若干」と書いた場合、「じゃっかん」と音読みする以外に、「そこばく/そくばく」という当て読みが存在します。
この場合も「若干(じゃっかん)」と同じく「少し」や「いくらか」という意味で用いることもあります(現代語で用いる場合はこの方がメジャーと思います)が、「若干(そこばく/そくばく)」には「たくさん」「多くの」という意味があり、古典単語としてはそういった意味で実際に用いられているケースもあるようです。
伊勢物語の出典で「若干(そこばく)の捧(ささ)げ物を木の枝につけて」という用例がありますが、この場合には「たくさんの贈り物を木の枝につけて」という意味になります。
「若干」と「弱冠」の使い分け
以上、「若干」と「弱冠」の使い分けについて解説しました。
両方とも「わずか」という意味合いがあるため、その点では似通った意味を持っているようにも見えますが、
・「少しの」に置き換えられる:「若干」…基本的にはこっち
・「年齢が」に置き換えられる:「弱冠」…年齢の若さを強調したいとき
という区別が分かりやすいかと思います。
基本的には「若干」、年齢の若さを強調する場合のみ「弱冠」と区別しましょう。
また、やや蘊蓄に近い話ではありますが「若干(そこばく/そくばく)」という読み方だと「たくさん」等の対義的な意味合いを持つことも、頭の片隅に置いておくと良いかも知れませんね。
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