漢検一級出題範囲の考察

漢検

漢字検定一級はその審査基準として「常用漢字を含めて、約6000字の漢字(JIS第一・第二水準を目安とする)の音・訓を理解し、文章の中で適切に使える。」ことを明記している。
ここにある通り、JIS第一・第二水準漢字が概ねの範囲といってよいと思うが、中にはこれらに含まれていながら配当外となっている漢字があり、逆に含まれていないにも関わらず配当漢字として選抜されている漢字もある。
今回、出題範囲となっている漢字について独自に調査、その範囲の考え方について考察したい。

JIS第一・第二水準の配当外漢字

JIS第一・第二水準にありながら漢検配当外となっている漢字は、過去の記事にて一覧化しているのでそちらを参照されたい。

JIS第一・第二水準漢字のうち漢検配当外の漢字
漢検の配当漢字は約6,000字で、JIS第一・第二水準漢字が目安とされています。ただ「目安」とあるとおり、実際にはJIS第一・第二水準漢字のすべてが範囲ではなく、配当外の漢字も多く含まれています。今回は配当外の漢字をまとめてみました。漢検配...

以上の記事のとおり、
JIS第一水準の配当外漢字:8字
JIS第二水準の配当外漢字:405字
JIS第一・第二水準の配当外漢字(合計):413字
存在することが分かった。これらの413字について、漢検が敢えて配当外とした理由を考えてみる。

①配当内漢字の異字体

413字の中で148字(約35.8%)が該当。「亊(事の異字体)」「珎(珍の異字体)」「舩(船の異字体)」「邉(辺の異字体)」等多数。
異字体と扱うかどうかは漢字によっては明確でなく、JIS第一・第二水準にある「碕(埼)」「劵(倦)」「崗(岡)」「徠(来)」「抂(枉)」「攷(考)」「晄(晃)」はそれぞれ括弧内の字の異字体として扱うケースもあるようだが、漢字辞典オンライン上で異字体として明確に掲載されていないため除外している。
漢検における異字体の扱いとしては、書き取りにおいては幅広く容認していると思われる。これは配当内漢字に限らず、例えば過去の出題例では「ぬえ」の書き取りに対する標準解答として「鵺・鵼」を掲載しているが、「鵼」については漢検配当外漢字である。
一方、読み問題で異字体を出題しているケースは見受けられないように思われることから、漢検としては飽くまで漢検漢字辞典に見出し字として掲載している字を出題対象としており、これらの異字体の区別を求めているものでは必ずしもない、ということが見受けられる。
また、例えば「躰道(たいどう)」の「躰」は「体」の異字体としてJIS第二水準漢字に含まれるが、これも漢検配当外である。「躰道」については「体道」のような書き換えが一般的でなく、異字体を使用することに意義のあるパターンであるが、こういった固有の用例があっても配当内として選ぶ理由にはならず、やはり異字体については飽くまで表記の一類型として考えているに過ぎないと思われる。

項番漢字配当内漢字の異字・旧字音読み訓読みその他
1ハク/ヒャク/ビャクかしわ地名などで使用
2
3ジ/ニちか(い)
4
5ジンことごと(く)/まま
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15人名用漢字には含まれる
16
17キョウ/コウ/ゴウおびや(かす)/かす(める)
18
19
20
21ベンわきま(える)/わ(ける)正確には「辨」の異字体。
22
23
24
25
26
27
28ラチ/ラツかこ(い)競馬において馬場の柵を「埒(らち)」と呼ぶ
29
30漢字オンラインでは異字体としての扱いではない
31
32
33レンくしげ/こばこ化粧箱という意味。「香匳(こうれん)」などの用例あり。
34ネイ/デイおも(ねる)/へつ(らう)/よこしま相手に取り入るという意味
35
36
37コクか(つ)/きざ(む)/きび(しい)/き(める)「相剋(そうこく)」などの用例あり
38ジ/ニそ(の)/なんじ代名詞での用例が主
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54ハン/バンはた「風旙之論(ふうはんのろん)」とは、中身のない議論をすること
55
56エイひ(く)人名などで用いる
57
58とち国字
59傑の異字体とされない場合もある
60
61とがた/はぜ/はぜのき/ますがた枡のような四角い木、またハゼノキのこと
62トウかまち
63
64エンおくぶか(い)/ふか(い)/ふち
65
66
67リュウしたた(る)/た(まる)/ため/た(める)
68ソ/ショまないた
69
70
71
72エイ/ヨウくびかざ(り)
73ショウ/ジョウかつ(て)/こころ(みる)/な(める)
74
75
76
77
78
79
80
81
82ボウ/バクかお/かたち
83
84ガイ/コウふた/おお(い)/おお(う)/かさ/けだ(し)
85エイあき(らか)/かしこ(い)/さと(い)
86ドウ/ノウ「碼碯(めのう)」とは宝石の一種
87稿
88
89
90キンしのだけ/やだけ
91カンあな/けわ(しい)/ちりば(める)/はめこ(む)/は(める)/ほらあな
92トウ
93
94コウわた/わたいれ
95綿
96かすり国字。漢字源では国字とせず、音読み「シ」を掲げ「纃縗(しさい)」という古代の礼服という意味の熟語を掲載
97繿ランつづれ/ぼろ
98
99
100
101カン/コウあつもの
102
103
104
105
106
107
108
109とも/へさき
110シュウ/ソウは(く)/ほうき
111リョウひし
112ガクうてな/はなぶさ
113ス/ソよみがえ(る)
114
115ジクくじ(ける)/はなぢ
116おもがい/たづな/たび/たびびと/つな(ぐ)/とりし(まる)
117
118
119
120財/賊「財」または「賊」の異字体として使われる場合がある
121
122
123ソウ/ゾウかく(す)
124
125
126「体」の異字体であるが「躰道(たいどう)」では原則この字が用いられる
127
128
129
130
131「渡邉」など人名で多く用例あり
132
133
134
135タクすず
136シュウさび/さ(びる)
137
138ル/ロいろり/たたら/ふいご兵庫県に「志知鈩(しちたたら)」という地名あり
139
140ジュンうるう
141シツ/チョクさだ(める)/のぼ(る)
142ヒョウただよ(う)/つむじかぜ/はや(い)/ひるがえ(る)
143
144ゴウおおうみがめ/おおがめ/おおすっぽん
145ガンかり鴈は配当内の異字体
146シン/テン/デンよたか
147
148

②主な用例が国内の地名のみ

①を除くと、413字中45字(約10.9%)が該当。
特定の地名でのみ使われる字は「方言字」とも言われることがあるよう。今回は漢字辞典オンラインにて「地名で用いられる」等の意味解説がついているものや、地名での用例を挙げているもののを対象とすることとした。
茨城県水戸市にある「圷大野(あくつおおの)」の「圷」や、静岡県伊豆の国市「墹之上(ままのうえ)」の「墹」、新潟県新発田市「三ツ椡(みつくぬぎ)」の「椡」、高知県四万十町「汢ノ川(ぬたのかわ)」の「汢」、和歌山県日高郡印南町「樮川(ほくそがわ)」の「樮」など。
「埖(ごみ)」や「閖(ゆり)」のように、地名で用いられるとした漢字の中には一般的な訓読みを持つものもあるが、代表的な用例が特定の地名である場合、敢えて出題範囲から外す意図があるように見受けられる。

項番漢字音読み訓読みその他
1ロウ咾倉(おばくら)、咾別(いかんべつ)などの地名で用例あり
2さそ(う)国字。哘(さそう)など地名で用例あり
3国字。「囎唹(そお)」は鹿児島県の地名(旧郡名)
4あくつ国字。人名や地名で用例あり
5まま国字。山形県に「圸(まま)の上」という地名あり
6ぬた国字(諸説あり)。「ぬた」とは泥田のこと。地名での用例あり。
7ホウかく、ひっかくという意味。愛知県に「垉六(ほうろく)」という地名あり
8がけ国字。埼玉県に「垳(がけ)」という地名あり
9岡山県に「垪和(はが)」という地名あり
10たお国字。「たお」とは連なった山の峰と峰の間のくぼんだ所。人名や地名で用例あり
11ごみ国字(諸説あり)。青森県に「埖渡(ごみわたり)」という地名あり
12まま国字(諸説あり)。静岡県に「墹之上(ままのうえ)」という地名あり
13まま国字(諸説あり)。神奈川県に「壗下(まました)」という地名あり
14ダン/ナンめおと石川県に「娚杉(めおとすぎ)」という地名あり。
15カイたわ国字(諸説あり)。「たわ」とは連山の峰と峰の間の窪みのこと。岡山県に「安ケ乢(やすがたわ)」という地名あり
16沖縄県に「「沢岻(たくし)」という地名あり
17ゆり国字(諸説あり)。京都府に「三和町岼(みわちょうゆり)」という地名あり
18くら国字。富山県に「芦峅寺(あしくらじ)」「岩峅寺(いわくらじ)」という地名あり
19はけ/やま国字。京都府の「広岾(ひろやま)」、埼玉県の「岾野(はけの)」など地名で用例あり
20たお国字。岡山県に「嵶(たお)」という地名あり
21とち福井県に「挧谷(とちだに・とったに)」という地名あり
22はば国字。秋田県に「掵上(はばうえ)」という地名あり
23セン矢の曲がりを正しく直すという意味。山形県に「高擶(たかだま)」という地名あり
24いり国字。「いり」とは水量調整のため堤に入れられた樋のこと。愛知県に「杁中(いりなか)」「小杁(おいり)」という地名あり
25コウ山梨県に「棡原(ゆずりはら)」という地名あり
26なぎ国字(諸説あり)。「なぎ」とは木の名。京都府に「椥辻(なぎつじ)」という地名あり
27ジンうつぎ「うつぎ」とは木の名。山口県に「棯小野(うつぎおの)」という地名あり
28しで国字。「しで」とは木の名。奈良県に「椣原(しではら)」という地名あり
29くぬぎ国字。新潟県に「三ツ椡(みつくぬぎ)」という地名あり
30くるみ「楜椒(こしょう)」などで用いる。富山県に「楜ケ原(くるみがはら)」という地名あり
31かし国字。鹿児島県に「槝之浦(かしのうら)」という地名あり
32ほくそ国字(諸説あり)。和歌山県に「樮川(ほくそがわ)」という地名あり
33じさ/ずさ国字。福島県に「橲原(じさばら)」という地名あり
34ぬた「ぬた」とは沼地のこと。高知県に「汢ノ川(ぬたのかわ)」という地名あり
35センいずみ富山県に「湶町(あわらまち)」という地名あり
36けさ国字(諸説あり)。鹿児島県に「畩ヶ山(けさがやま)」という地名あり
37はた国字。人名や地名で用例あり
38ぬか糠のこと。秋田県に「粐蒔沢(ぬかまきざわ)」という地名あり
39すくも国字(諸説あり)。山口県に「粭島(すくもじま)」という地名あり
40すくも国字(諸説あり)。広島県に「甲田町糘地(こうだちょうすくもじ)」という地名あり
41ゆき国字。熊本県に「膤割(ゆきわり)」という地名あり
42チ/ネ国字(諸説あり)。地名や人名で用いられる。「祢」の誤字とされる場合もある
43リョウかすがい山形県に「小鍄(こがすがい)」という地名あり
44ソウ馬の頭部につける金属製の飾りという意味。栃木県に「鑁阿寺(ばんなじ)」という地名あり
45ゆり国字(諸説あり)。宮城県に「閖前(ゆりまえ)」「閖上(ゆりあげ)」という地名あり

③具体的な用例がない

①・②を除き413字中98字(約23.7%)。地名以外で「用例がない」ものはこの分類とした。
用例がないと一口にいっても内容は様々であるが、原則として訓読みを持たず、かつ熟語の用例が見当たらない字は「用例がない」ものとした。
多いのは部首を構成する字で、「なべぶた」の「亠(トウ)」、「うけばこ」の「凵(カン・ケン)」、「ふゆがしら」の「夂(チ)」、「うかんむり」の「宀(ベン)」、「まだれ」の「广(ゲン)」、「えんにょう」の「廴(イン)」、「しょうへん」の「爿(ショウ・ゾウ)」、「はつがしら」の「癶(ハツ)」などは一応音読みが与えられ、字義もあるにはあるが、大半は熟語を構成していないため配当外となっているように思われる。
一方、部首を表す漢字の全てがそうではなく、「丶(チュ/てん)」、「冫(ヒョウ/こおり)」、「厶(シ・ボウ/ござ(る))」、「攵(ホク・ボク/う(つ))」等の訓読みを持つもの、「爻(コウ/まじ(わる))」の「卦爻(かこう:易(占い)の一つの意)」、「耒(ライ/すき)」の「擁耒(ようらい:耕すこと)」、「豸(ジ・タイ・ダイ・チ)」の「解豸(かいち:神獣の名)」、「鬲(レキ・カク/かなえ)」の「襟鬲(きんかく:心の意)」等の熟語を構成するものについては「用例がない」とは言えないものとしてこの分類の対象外としている。
また、いわゆる「幽霊漢字」も「用例がない」ものとしている。「彁(カ/セイ)」のように完全に典拠不明な文字を含め10字が該当し、「𡚴原(あけんばら)」の誤字とされる「妛」、「榕原(ようばる)」の誤字とされる「穃」等、地名で用いられるとされるものもあるが、漢字辞典オンライン上で「音義不詳」のように記載されているものについては「用例がない」と判断した。
なお、熟語を構成するが構成要素の一方が漢検配当外漢字であり、かつ当該熟語以外の用例がない場合は、漢検の出題可能性を考察する観点では「用例がない」ものであると分類。「嗹嘍(れんろう:話があいまいで回りくどいさま)」の「嗹」、「氤氳(いんうん:気が立ち込めるさま、気の和らぐさま)」の「氤」、「耵聹(ていねい:耳垢のこと)」の「聹」、「髝髞(ろうそう:高いさま、せっかちなさま)」の「髞」などは、それぞれ漢字辞典オンライン等で熟語の用例があるものの、一方の漢字が配当外漢字になるため出題可能性が乏しいと判断している。

項番漢字音読み訓読みその他
1カ/コ「1ヶ所」というときの「ヶ」の由来とされる
2丿ヘチ/ヘツ部首「の・はらいぼう」。「丿乀(へつふつ)」とは、舟が揺れ動くさまを表す語
3ケツ部首「はねぼう・かぎ」。鉤(かぎ)という意味
4トウ部首「なべぶた」。単体での意味は持たない
5ハク/バク殷の都の名。毫とは別字
6ジン/ニン部首「ひとあし」。人の古字とされる
7ケイ/ゲイ漢文の助字として用いられる
8キョウ/ケイ部首「けいがまえ」。遠く離れた国境地帯、はるかなさまなど
9ベキ/ミャク部首「わかんむり」。覆うという意味。「冪」に近いか
10カン/ケン部首「うけばこ」
11ケイ/ゲイ部首「かくしがまえ」。隠すという意味
12カン部首「がんだれ」。崖の意味。しばしば歴/暦/雁の略字として用いられる
13カ/ガ/ケ/ゲ感嘆を表す語
14カ/カイ/ケ口が緩むさまを表す語
15コウ叱る、むせる、すすぐという意味
16従う、小さな子供が泣くという意味
17レン「嗹嘍(れんろう)」は話があいまいでまわりくどいさま
18チョ音義不詳。いわゆる幽霊文字の一つ。「躇」の俗字とされるケースあり
19部首「ふゆがしら」。遅れていくなどの意味
20スイ部首「すいにょう」。ゆっくり行く、ゆっくり進むという意味
21ベン部首「うかんむり」。屋根という意味を持つ
22オウ足や背中が曲がって不自由である、またそういった人という意味を持つ
23あけん音義不詳。いわゆる幽霊文字の一つ。「𡚴」の誤字とされ「𡚴原(あけんばら)」は滋賀県の地名
24ビン/ミン中国の山の名として「岷山(びんざん)」、川の名として「岷江(びんこう)」という用例あり
25キョウ山の切り立った険しいところという意味。島根県に「峺迫(がいさこ)」という地名あり
26カ/ゲ中国陝西省にある「崋山(かざん)」、江戸時代の画家「渡辺崋山(わたなべかざん)」で用いる
27リュウ山が高くそびえるさまという意味。茨城県にかつて「嶐郷村(りゅうごうむら)」という地名あり
28广ゲン部首「まだれ」。屋根という意味
29イン部首「えんにょう」。引き延ばすという意味
30キョウ部首「にじゅうあし/こまぬき」。ささげるという意味
31カ/セイ音義不詳。いわゆる幽霊文字の一つ。読みは便宜上のもの。太鼓の達人の曲名として使われている
32ケイ部首「けいがしら」。豚の頭という意味
33サン部首「さんづくり」。飾り、または髪が長いという意味
34コウ「怐愗(こうぼう)」とは愚かなさま
35キュウ/クやす/よし逆らうという意味があるとされるが、音義不詳とされることも
36バン/ボンまどう、忘れるという意味。
37ソウせわしいさま、愚かなさまという意味。「憁(ソウ)」の異字体とされる場合もある
38ショウ悼む、憂えるという意味
39音義不詳。いわゆる幽霊文字の一つ。読みは便宜上のもの
40リョウあきらか、明るいという意味
41トウ木の名とされるが実体は未詳。また、木の芯という意味
42ロウ木を折る、木で作った柵という意味。人名などで用いる
43木の名とされるが実体は未詳。また、器具の柄をはさむ金具という意味
44ソウサイカチという落葉高木のこと
45ケン「棬(ケン)」と同字または「橳(ぬで)」の誤字とされる。音義不詳とされる場合もある
46コウ古代中国の打楽器の名という意味。宮城県仙台市に「椌木通(ごうらきどおり)」という地名あり
47リンクロモジという木の名のこと
48テイかんざしという意味
49ボウ茂るという意味、またボケという木の名のこと
50榿ハリノキという木の名のこと。京都府に「榿ノ木(はりのき)」という地名あり
51メイ「榠樝」は、カリンのこと
52セン/ゼン/タン/ダン丸い、または棺を乗せる車という意味
53カン群がって生える木のこと
54サイ木の節という意味
55チョウ/ボクヤドリギのこと、またシャコ(鳥)の別名、また鳥居という意味
56ガツ/タイ部首「がつへん/かばねへん」。残骨、または悪いという意味
57イン「氤氳(いんうん)」とは気が立ち込めるさま、気の和らぐさまのこと。
58フン/ブン中国の川の名に用いる。「汾沄(ふんうん)」とは多くて盛んなさま(字通)
59ヘン/ベン中国の川の名に用いる
60ホウ水のぶつかり合う音、水の勢いの盛んなさまという意味
61シュ中国の川の名に用いる
62キ/ギ中国の川の名で用いる
63シュ/ショウ中国の川の名で用いる
64リク/ロク雪の湿りという意味。北海道足寄郡に「淕別村(りくんべつむら)」という地名がかつて存在した
65エ/カイ/ワイ中国の川の名で用いる
66かつて中国の川の名として用いられた
67エイ/ヨウ中国の川の名で用いる
68中国の川の名で用いる
69ショウ/ゾウ部首「しょうへん」。木切れ、寝台という意味
70コン/ゴン美しい玉の名のこと
71ヨウ花のつぼみの膨らんださま、道、鐘の柄のこと
72フ/ブ耕すという意味。
73ハツ部首「はつがしら」。両足を開く、歩くという意味
74イン慣れ親しむという意味。漢字源での音読みは「ジツ」とされている
75アイ暗い、はっきりしないという意味
76セキ碩の誤字、または磌の異字体とされる。音義不詳とされる場合もある
77イク玉に似た美しい石という意味
78ハツ稲が痛むという意味
79ショク/チョク早生(わせ)という意味
80ヨウ沖縄県の地名「穃原(ようばる)」で用いるとされるが「榕原」の誤字。本字は音義不詳とされる場合もある
81うるち国字(諸説あり)。福島県の地名「粫田(うるちだ)」で用いるとされるが「糯田(もちだ)」の誤字。本字は音義不詳とされる場合もある
82ネイ/デイ「耵聹(ていねい)」とは耳垢のこと
83ショ/ジョ/チョクコ、アザミのこと。山口県の「莇地(あどうち)」、石川県の「莇谷(あざみだに)」など地名で用例あり
84ワスレグサという草の名のこと
85サイ/セイ草が盛んに生い茂るさま、美しいさまという意味。「萋斐貝錦(せいひばいきん)」とは、小さな失敗を誇張して人を陥れること
86リンキツネアザミという草の名のこと
87部首「とらがしら」。トラの頭という意味
88部首「おおいかんむり/かなめのかしら」
89たか/やが(て)国字(諸説あり)。「軈」の異字体とされるが、幽霊漢字の一つとして音義不詳とされる場合もある
90ハツ金属を加工するという意味
91矛という意味
92リュウ/ル美しい金属という意味
93チン「鍖銋・鍖鈓(ちんじん)」は、声がゆったりとしているさま、ゆるやかなさまのこと
94タ/ダ/ズイ古代中国の地名で使われる。キョンシーの額に貼られた霊札の文字として「勅令陏身保命」がある
95ブン/モウ赤いたてがみで、体は白く、目は黄色い馬
96シュウ/ジュン国字(諸説あり)。幽霊文字の一つとされることもある
97シュウ/ヒュウ/ヒョウたくさんの馬が走るさまという意味。青森県に「驫木(とどろき)」という地名あり
98ソウ「髝髞(ろうそう)」は、高いさま。また、せっかちなさま。落ち着きのないさま

配当漢字とされ得る漢字

以上、①~③を除いた413字中122字(約29.5%)については、
(ア)訓読みがある
(イ)配当内漢字で熟語を構成できる
のいずれか、又は両方の条件を満たす字であり、漢検の配当漢字の基準に照らすと漢検配当内とされる可能性はあるように思われる。
なお、今回は漢字辞典オンライン等のインターネット上で簡便に確認可能な資料にある記載を中心にまとめた結果であり、文献によっては今回①~③に当て嵌めた字にも訓読みがあったり、熟語を構成できるものがあり得ることはご承知おき願いたい。

項番漢字音読み訓読みその他
1さい/さき「碕嶺(きれい)」とは連山、「湾碕(わんき)」とは入江の岸辺のこと(字通)。「鳥取県に「赤碕(あかさき)」という地名あり。その他人名などで使用。
2サ/サクく(う)/く(らう)「咋咋(さくさく)」とは大声のさま(字通)。石川県羽咋市(はくいし)という地名あり
3ハン/バンのごめ部首「のごめへん」。四日市市釆女町(うねめちょう)という地名あり
4チュてん部首「てん」
5ラン「儖儳(らんざん)」とは、醜いさまのこと
6ヒョウこおり部首「にすい」
7チュウおき/むな(しい)江戸時代の画家「伊藤若冲」で用例。沖の異字体とされる場合もある
8ケン/ゲンあ(きる)/あぐ(む)/う(む)/つか(れる)券とは別字
9ホウつつ(む)部首「つつみがまえ」。包むと同義
10ヘン/ベン漢検四字熟語辞典に「卞和泣璧」の用例あり
11セツ/セチわりふ部首「ふしづくり」。節に近い意味
12シ/ボウござ(る)部首「む」。シ(私)、ボウ(某)と近い。
13カク/ラク「咯訟(らくしょう)」とは言い争うこと。「喀痰/咯痰(かくたん)」でも用例あり
14イ/コクくに部首「くにがまえ」。囲う、また「国」の異字体ともされるケースもある
15「柬埔寨(カンボジア)」での用例が比較的著名
16サイ/ソツそね「そね」とは痩せた土地のこと
17ウ/オ土手、砦という意味。「村塢(そんお)」とは村の周りを囲む土塀や塀のこと、また転じて村のこと
18あま国字。「海士(あま)」の士が土に変化し合体した字
19ソンたる樽の異字体とされるケースもある。「壿」とは別字
20イク/オウきし「墺太利(オーストリア)」で用いる
21ドウうわなり/なぶ(る)うわなりとは歌舞伎十八番のひとつ。
22へびほか(他)、へび(蛇)という意味
23カク/コクつるきわめて高いさまという意味を持つ
24ケキ/ゲキはきもの木靴という意味を持つ。「屐履之間(げきりのかん)」とは非常に細かいこと
25ひだり左とほぼ同義だが異字体とはされていない
26ハクさこ「𡻟岶(ばくはく)」は草木が密生しているさま。人名に用いることが多い
27コウ洞穴という意味を持つ。「岌峇(きゅうこう)」は鉄を打つような大きな音
28コウおか「花崗岩(かこうがん)」で用いる
29タン豚や猪が走るという意味。易の各卦の意味の総論。「彖伝(たんでん)」とは易の十翼の一つ
30テキたたず(む)「彳亍(てきちょく)」は少し歩いては立ち止まること
31ライく(る)/きた(る)漢字オンラインでは異字体としての扱いではない。「来」の異字体としては「來」「徠」のみ人名用漢字
32タン憂える、丸いという意味。「慱慱(たんたん)」とは悩み苦しむ様子のこと
33よころ(び)/よころ(ぶ)「憙遊(きゆう)」とは遊びを好むこと(字通)。「憙(むがしび)」とは心にかなって喜ばしく思うこと(広辞苑)
34キョウ/オウ「枉」の異字体とされる場合もある。「抂攘(きょうじょう)」は、ひどく乱れるさま。荒れるさま
35ホク/ボクう(つ)部首「ぼくづくり/とまた/のぶん」。打つ、軽くたたくという意味
36ホク/ボクう(つ)部首「ぼくづくり/とまた/のぶん」。打つ、軽くたたくという意味
37コウかんが(える)/たた(く)「考」の異字体とされる場合もある。「論攷(ろんこう)」とは、論じ考察を加えること
38ユウところ「攸攸(ゆうゆう)」とは遠くはるかなさま。悠々(漢字源)
39ブ/ム/ボ/モない無いという意味。「无何有郷(むかゆうきょう)」とは、理想郷のこと
40む(せる)部首「む・むにょう」。むせる、息が詰まるという意味
41コウあき(らか)/ひか(る)晃の異字体とされない場合もある。人名用漢字には含まれる
42ヘツ瞥とは別字。「暼暼(へつへつ)」は、太陽が沈んでゆくさま
43木の角という意味。「立柧棱(たちそば)の」とは枕詞で「実の無けく」に係る(大辞泉)。「宮崎県に「金成柧木沢(かんなりはぬきざわ)」という地名あり
44ヒン/ビン檳の異字体とされることもある。「梹榔(びんろう)」は、ヤシ科の常緑高木のこと
45クンさるがき「桾櫏(くんせん)」は、カキノキ科の落葉高木のこと。兵庫県に「口吉川町桾原(くちよかわちょうくぬぎはら)」という地名あり
46カイくぬぎ/はこ箱の内側、クヌギの木という意味
47コン「合棔(ごうこん)」はネムノキのこと
48たぶ/たぶのき国字。「たぶのき」とは木の名
49ポンはえ「椪柑(ぽんかん)」は、みかんの一種
50チョウゆずりは小さい皿、またユズリハという木の名のこと
51オツ/オンすぎ「榲桲(おつぼつ/マルメロ)」はバラ科の落葉高木のこと
52ロウおり/まど「簾槞(れんろう)」とは、すだれのかかった細い格子のある窓のこと(漢字源)
53まさ国字。まさ(柾目)のこと
54オク/ヨクあおき/もちのきモチノキ、アオキのこと
55エン「枸櫞酸(くえんさん)」で用いる
56ライ酒樽という意味。「櫑具(らいぐ)」は、剣の柄頭(つかがしら)のかざりのこと
57つき国字(諸説あり)。つき(槻)のこと
58フ/フウ/ホク/ボク腐る、倒れ伏すという意味。「殍殕(ひょうぼく)」とは飢えて死ぬこと(字通)
59シュほこ部首「ほこづくり/るまた」。「殳書(しゅしょ)」とは秦書八体の一つ(漢字源)
60キ/キツ/ケ/コツいき部首「きがまえ」。息、空気のこと。また求めるという意味
61オウ水の多いさま、雲の湧き上がるさま。「泱鬱(おううつ)」とは盛大なさま(字通)
62デン/テン「沺沺(でんでん/てんてん)」は水の流れが果てしなく広がるさま。
63ジョ「沮洳(しょじょ)」とは、低くて水はけが悪くじめじめした土地のこと(広辞苑)
64コウ「浤浤(こうこう)」は波の激しい音の形容
65カン/コンあか「あか」とは船底にたまった水のこと。「淦水(かんすい)」とは「あか」のこと(広辞苑)
66オウ/コウほり堀のこと。「湟潦(こうろう)」とは水たまりのこと
67ホツ/ボツ水が湧き出るさまという意味。「渤海(ぼっかい)」とは8~10世紀頃に栄えた国名。「溟渤(めいぼつ)」とは果てしなく広い海(日国)
68トウ/ドウ中国の川の名で用いる。「潼潼(どうどう)」は波の高いさま
69レン大きな川の支流、また、慎ましいという意味。「濂洛関閩学(れんらくかんびんのがく)」とは朱学のこと。
70ホク/ボク中国の川の名で用いる。「桑間濮上(そうかんぼくじょう)」とは淫靡な音楽のこと
71コウまじ(わる)部首(こう)。「卦爻(かこう)」とは易(占い)の一つ
72「琨珸(こんご)」は山の名。また、そこで産出される美しい石。
73キュウ/キョウ/コウ/ヒキ/ヒョク芳しい、粒という意味。「皀莢(さいかち)」とは植物の名
74キ/イ/ユイ目を凝らして見る、また眼病のこと。「瞶眩(きげん)」とはめまいのこと(字通)
75チク「矗矗(ちくちく)」とは高くそびえるさま。「森矗昶(もりのぶてる)」は森コンツェルンの創始者、「白瀬矗(しらせのぶ)」は南極探検家の名
76かき国字。牡蠣のこと
77はえ「はえ」とは岩礁のこと。愛媛県に「平碆(ひらばえ)」という地名あり
78カツ/ゲチ「磆石(かっせき)」とは鉱物の一種
79一回り、一周年という意味。「稘歳(きさい)」とは一周年(字通)
80うつぼ国字。「うつぼ」とは矢を入れておく筒のこと
81矢のこと
82エン細い竹という意味。「水篶/三篶(みすず)」とはスズタケの別称。長野県に「美篶(みすず)」という地名あり
83トウあら/あらごめ千巻または精米していない米という意味。福島県に「粡町(あらまち)」という地名あり
84ボ/モかた/のっと(る)「糢糊(もこ)」はあいまいでぼんやりしたさま
85ボウ/モウあみ部首「あみがしら/あみめ」。中国語では「インターネット」の意味合いで使われるケースが多い
86ライすき部首「らいすき/すきへん」。「擁耒(ようらい)」とは耕すこと(字通)
87カクひかがみ/よほろ「膝膕(しっかく)」とは膝の後方の窪んだ所。「ひかがみ」のこと(広辞苑)
88カク「茖葱(かくそく)」とはギョウジャニンニクのこと
89ジョウ/チョウ「萇楚(ちょうそ)」はイララグサのこと
90しだシダのこと
91カン草の名のこと。「肉荳蔲(にくずく)」とは植物の名。山形県に「高豆蒄(こうずく)」という地名あり
92にんにく「依様葫蘆(いようころ)」とは手本の通りにだけ行って工夫がないこと。「葫蘆(ころ)」とはヒョウタンのこと
93タン/ダンムクゲのこと。「葮竹(だんちく)」とはイネ科の多年草の名
94おなもみ秋田県に「葹田(なもみだ)」という地名あり
95オ/オウとう「暗香蓊葧(あんこうおうぼつ)」とは、どこからとなく良い香りが盛んに漂ってくるさま
96チョウ/シュウ「蓚酸(しゅうさん)」とは有機酸の一種
97かつら国字。「かつら」とはかずらのことで、ツル性植物の総称
98トウつちぐも「蛈蝪(てっとう)」とは、蜘蛛の類。地蜘蛛(じぐも)。
99もみ/もむ国字(諸説あり)。幽霊漢字の一つとされることもある。「もみ/もむ」とはアカガエルの異称。
100エン着物がゆったりと長いさまという意味。「袁紹(えんしょう)」「袁世凱(えんせいがい)」など中国人名に用例あり
101ジ/タイ/ダイ/チ部首「むじなへん」。「解豸(かいち)」とは神獣の名のこと
102キュウ「貔貅(ひきゅう)」とは、トラやヒョウに似た猛獣のこと
103勇猛な戦士という意味。「貔貅(ひきゅう)」とは、トラやヒョウに似た猛獣のこと
104「貔」の異字体。勇猛な戦士という意味。「豼貅(ひきゅう)」とは、トラやヒョウに似た猛獣のこと
105リャク/レキ「轣轆(れきろく)」とは、車が走る音の形容
106曲がる、曲がりくねるという意味。「逶迤(いい)」とは曲がりくねっているという意味
107ズ/トウかも(す)/そえ酒を二度醸すこと、また迎え酒の意味
108コク/ゴクこがね鳥取県に「釛(こがね)」という地名あり
109ジャク/セキ「鍮鉐(ちゅうせき)」とは、金属の名。真鍮(しんちゅう)のこと
110カ/ゲ「錏鍜(あか)」とは、しころ。かぶとの左右や後方に垂らし、首すじを守る防具のこと
111ハン/ボンたつき/たづき「たつき/たつぎ」とは、木を伐採するのに用いる刃はばの広い大きな手斧のこと
112トウしま島の異字体とされることもある。福島県に「高陦(たかしま)」という地名あり
113タイおよ(ぶ)部首「たい/れいづくり」。及ぶ、届くという意味
114スイとり/ふるとり部首「ふるとり」。尾の短い鳥の総称
115ドウとも柔らかい土、または「とも(鞆)」の意味
116ヒョウ部首「かみがしら」。「髟髟(ひょうひょう)」とは、髪が垂れるさま
117トウたたか(う)部首「とうがまえ/たたかいがまえ」。戦うという意味
118レキ/カクかなえ部首「れき/かなえ」。「襟鬲(きんかく)」とは、心という意味(字通)
119フ/ホいるかイルカ、スナメリ、エイという意味
120リュウ/ルぼら国字(諸説あり)。国字として扱う場合は音読みはない
121とび国字(諸説あり)。とび(鳶)の意味
122ブ/ムしとどシトドとは鳥の名

参考資料

1.漢検 漢字辞典

2.漢字辞典オンライン

3.辞典オンライン 四字熟語辞典